50歳・早期退職・のんびり楽しい暮らし

50歳で28年勤めた会社を辞めました。会社を辞めるまでのこと、辞めたあとの日々を語ります。

本の感想:82年生まれ、キム・ジヨン(チョ・ナムジュ)、すべてではないけれど自分が経験したことが書いてある本

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photoBさんによる写真ACからの写真

テレビの本紹介の番組で取り上げられていたのをたまたま観て、気になっていた本でした。
面白くて一気読みしました。

 

女性だから

自分の過去を振り返ってみると、大学を卒業するまで、「女である」ことを不利に感じることはほとんどなかったように思います。
唯一、今でも忘れられないのは、高校3年生の時に母から言われた言葉。
「弟は男だから私立でも大学に行かせなきゃいけないと思っている。我が家には二人を私立に行かせる余裕はないから、お金がかからない進路を考えてほしい。」

母は、強烈に進学したかったのに(本人曰くですが、勉強ができたので、中学の先生が進学させてあげてほしいと家に来たとか)、祖父に行かせてもらえず、10代で親の決めた相手と結婚しています。
今では考えられない人生ですが、当時、その地域ではそれが当たり前だったのでしょう。
その反動からか、私には子供の頃から、絶対に早く結婚しない方が良い、仕事をして自分で稼げるようになった方が良いと繰り返し言っていました。

そんな母でも、やっぱり男である弟が優先されていました。
でも、当時、私も「まあそうだよね」と、当たり前のように受け入れていたんです。
何だろう、この当たり前の感覚。
でも30年以上経っても覚えているということは、自覚はなかったにしろ、何かしら違和感はあったんだろうなと思いました。

自分の人生としては、結婚して子供を産んでお母さんになるのが普通だと思っていました。
当然、子供ができたら仕事は辞めようと思っていて、疑問にも思っていなかった。
なんか、当たり前のように、子供の頃から刷り込まれている感覚。

両親の実家が九州なので親戚づきあいはほとんどないのですが、冠婚葬祭には両親は出席していました。
最近だとお葬式が圧倒的に多くなっているのですが、お料理の準備とか片づけとか裏方の仕事は全部女性で、男性は座ってお酒を飲んでいます。
うちの場合、両親の代わりに弟が行けば座ってお酒を飲んでいれば良いけれど、私が行ったらお手伝いです。
同じ家から同じ立場で出席しても、やることは全然違う。
母から、お父さんも私も歳をとって九州までの旅が辛くなったから、次は代わりに行ってもらうかもしれないと言われた時に、絶対に行きたくないと言ってしまいました。
だってお手伝い必須だし、田舎の習慣を知らない私がうまくできるわけがないし、でも教えてくれるわけでもないことがわかっているから。
あとで「気が利かない、ダメな子。〇〇さん(母)の教育がなってない。」って言われるんですよ。たぶん。
そういう時にも、父の教育がなっていないとは言われない。

社会に出るまで、女性だから損をするという意識は皆無でした。
サラリーマン生活でも、今思えばいろいろあったけれど、得することもあったので、うまく立ち回れば良いと思っていた。
でも、ちゃんとやらないと、成果を出さないと、女だから特別扱いされている、評価されている、昇進していると見られそうで、頑張らなきゃと思っていたことも事実。

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自分も差別をしていたことに気付かされる

人を管理する立場になってみると、事情がある人は面倒に感じてしまうことも事実です。
急に休まなきゃいけない事情があって、休みも多いと、フォローしなければならないのは自分たちだから。
そして、管理者は休まずフォローに回ってくれる人の不満も解消しなきゃいけない。

この本の最後は、

「いくら良い人でも、育児の問題を抱えた女性スタッフは難しい。後任には未婚の人を探さなくては、、、」

という言葉で終わります。
なんか、ハッとさせられます。
似たようなことを考えていた自分に気付いたから。

私は、自分の会社員生活を振り返った時に、圧倒的な経験不足を感じていました。
同年代の男性たちとは、業務の経験値が違いすぎた。
それは、自分の力不足もあったのかもしれないけれど、女性だからこれはさせられないという考えもあったのだと、感じる時もあった。
女の子の割によくやっていると面と向かって言われることもあったし。

でも、自分が管理者になってみると、余計な気遣いかもしれないけれど、ママで時短の女性には、できるだけ無理をさせない方が良いのかなと思って、時間がかかりそうな仕事は任せていなかった。
本音の部分では、任せても無理がきかないからできないかもしれなくて、その時のフォローが面倒だなというのもあったりする。
そうすると、成長も遅くなる。
これって、差別の結果、必要なスキルを学べなくなるというパターン。
自分と同じ目にあわせていたんですよね。

「リーン・イン(シェリル・サンドバーグ)」を読んで、進んでいると思っていた欧米でもまだそんな状況なんだと考えたので、、、
かなり遅れている日本で、一朝一夕に変えることは難しい問題。
Amazonの書評で、「昔はこんなこともあったんだね」という社会になったら良いと書かれている感想があったのですが、本当にそう思います。
21歳差の母と私ですが、置かれた環境はまったく違っています。
今の子供たちが大人になる頃には、そうなっているかもしれませんね。

 

男性だからの辛さ

自分は経験していないのでまったくわかりませんが、「男性だから」という辛さもあるのでしょう。
周囲の男性を見ていると、男だから、長男だから、両親の面倒は見なきゃとか、家族を養う責任とかの意識はすごく強いです。
第一子、長女、妻の私はほとんど感じたこともありませんが。

これもAmazonの書評に書いてあったのですが、もし男性が主人公の同じような話があったら、私も読んでみたいです。

 

幸せだったこと、楽しかったこと

  • 「82年生まれ、キム・ジヨン」すごく面白かった。
  • 久しぶりにケーキを買った。コージーコーナーのほうじ茶ラテモンブラン。美味しかった。
  • 久しぶりに読書の時間をじっくり持てた。